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番外編 オオクワガタの繁殖方法! 卵から成虫までの育て方

番外編 オオクワガタの繁殖方法! 卵から成虫までの育て方

当サイトは主にアクアリウムを中心に熱帯魚、水草、ときにはカエルなどの小動物に焦点を当て、生き物の飼育方法を発信しています。これまで昆虫を取り上げたことはありませんが、筆者はアクアリウムを始めるずっと前、幼稚園に通っていた頃から昆虫と触れ合ってきました。今回は初の試みですが、夏の足音を感じるこの時期ぴったりのオオクワガタを扱いたいと思います。

オオクワガタってどんなクワガタ?

皆さんはオオクワガタにどのようなイメージを持っていますか? 約20年前のクワガタブームを経験された方にとっては「高級な昆虫」といった印象でしょうか。最近ではブームが去り価格が落ち着いてきていますが未だに他のクワガタに比べると高価です。オオクワガタは国内では人気No.1のクワガタで、とにかく飼育が簡単、そして寿命が長いのが特徴です。「簡単なのにどうして値段が高いの?」と思われるかもしれませんが、その理由の一つに野外採集個体の希少性が挙げられます。オオクワガタは警戒心が強いためブームが訪れる前から採集難易度は高く、さらに90年代後半から採集者が増加したため個体数の減少に拍車がかかってしまいました。現在ではブリード個体が多く出回っていますが、〇〇産といったように産地がブランド化していることもオオクワガタの価格が高い理由の一つです。

オオクワガタはコクワガタやヒラタクワガタと同じドルクス属のクワガタで、成虫の状態で越冬することができます。大きさはオスの大型個体では8cmを超えることもある大型のクワガタです。野外個体を採集するのは非常に難しいため、入手する際はペットショップや専門店で購入する方法が一般的です。購入時は必ず野外採集個体かブリード個体かを確認し、ブリード個体の場合はペアリングが必要のためペアで購入してください

1. ペアリングの流れ

オオクワガタは有性生殖で増えるので、繁殖の際には必ず成熟したオスとメスが必要になります。しかし、野外で採集したメスの場合は交尾済みの可能性が高いためオスがいなくても産卵します。

ブリード個体の場合

成熟を確認しよう

ブリードされた個体は卵を産ませるために交尾をさせる必要があります。その際に気をつけなければならないことは、親となる成虫が羽化してからどれくらい経っているのかということです。オオクワガタは羽化直後は成熟していないので交尾はしません。したとしても無精卵を産んでしまうので、成熟したオスとメスが必須です。成熟の目安は羽化から6ヶ月です。具体的には羽化してからエサを食べ始めるまでに1〜2ヶ月ほどかかり、食べ始めてから成熟までに3〜4ヶ月ほどかかります。よって購入した個体がエサを食べていて、羽化日(多くの場合記載されています)から最低でも4ヶ月以上経過している場合は産卵できる可能性が高いです。より確実に産ませるならば羽化した年は産卵させずに越冬させて、翌年に産ませるのも良い方法です。いずれにしても個体差があるので一概に成熟にかかる期間は言えません。確実性は低いですが、エサをよく食べ、活動的になってきたらペアリングに踏み切るという判断方法もあります。

ペアリング

オスとメスを一匹ずつペアリング用のケースに1週間ほど同居させて交尾を促します。ケースの大きさは幅20cm前後の小〜中型で大丈夫です。むしろ広すぎるとペアが出会う機会が減ってしまうのでおすすめできません。

ケースには昆虫マットを薄く敷き、止まり木、昆虫ゼリーを入れます。隠れる場所が多すぎると成功しないことがありますが、万が一ペアの仲が悪かったときのために止まり木は入れておきましょう。とはいってもオオクワガタのペアリングは成功率が高いので1週間もあればほぼ確実に交尾をします。

写真のようにオスがメスに覆い被さって守るような姿勢をとった場合はペアリングが成功していると考えて良いでしょう。このような姿が見られなくても成功している可能性は十分あるので、ペアリング開始から1週間が経過したらメスを取り出します。

野外採集個体の場合

樹上で採れた野生のオオクワガタのメスは高確率で交尾済みです。樹液に集まる個体は成熟済みであるため、すでに交尾をしているのです。よって飼育下でのペアリングは不要です。

2. 産卵セットを組む

産卵させるための設備を産卵セットと呼びます。作り方は以下の通りです。

Step1. 産卵木を1日水に沈め、半日日陰で乾かす

Step.2 埋め込み用マット(広葉樹なら成虫・幼虫用でも可)をケースの5分の1ほどの厚さに固く詰める

Step.3 産卵木を入れてマットで柔らかく埋める

Step.4 ペアリング済み、あるいは野外個体のメスのみを入れる

産卵木

以上で最低限の産卵セットは完成です。オオクワガタは簡単に卵を産むので、多少セット方法が異なっていても問題はありません。強いて言えば産卵木は硬めのものが好みのようです。一般的な産卵木はクヌギかコナラで、とても安価のため複数用意すると産卵数アップが期待できます。画像の産卵セットはタッパーで作っており、コナラの産卵木を1本使っています。ご覧の通り樹皮を剥いでおり、剥いだ皮は足場のためにばら撒いてあります。

産卵を成功させるポイントはとにかく放置することです。振動や光を警戒して産まないことがあるのでケースにはエサを多めに入れ、確認は最小限にしましょう。この状態で最低1ヶ月、長くて2ヶ月ほど置いておきます。

3. 幼虫の取り出し

産卵セットにメスを入れてから1〜2ヶ月ほど経過したら幼虫を取り出しましょう。通常卵が産み付けられた産卵木はメスがかじった道ができているので、それに沿ってマイナスドライバー等で割っていきます。このときの幼虫の大きさは数ミリほどで、注意していれば見落とすことはないでしょう。割り出すのが早すぎると卵の状態で見つかることがありますが、湿ったマットの上に置いて蓋付きのケースに入れておけば数日で孵化します。

木目やメスの通り道に沿って割ると幼虫が見つかります

4. 菌糸ビンに移す

オオクワガタの幼虫の飼育には「菌糸ビン」を使用します。菌糸ビンとは広葉樹のおが屑にキノコの菌を植え付けて幼虫が食べられるように分解したものです。これを使えばクワガタの育成はとても簡単で、失敗することはほぼありません。また菌糸ビンは栄養に富んでいるので、幼虫を早く大きくすることができます。幼虫は1匹ずつ飼育するので、個体数分の菌糸ビンが必要になります。1本のビンを食い尽くすまでにかかる期間はおおよそ3ヶ月です。

1本目

孵化から最低でも1日経った幼虫は早速菌糸ビンに入れましょう。ビンの大きさは120ccくらいの小さなカップを使えば2週間〜1ヶ月後にはオスとメスの区別がつき、その次からそれぞれに適したサイズのビンを用意することができます。または最初から800ccのメス用のサイズに入れて次の交換時にオスのみサイズアップする方法もあります。後者の方が交換頻度が低くて済むので大型化が期待できますが、個体数は割り出してみなければわからないため、とりあえずのエサとしてカップを準備する方が便利です。

菌糸ビンの表面の膜は幼虫が入るくらいの大きさに取り除きます。そして、幼虫の前の住処である産卵木の削りカスとともに幼虫を投入します。これは環境の変化を軽減するためです。あとは自力で潜っていくので、姿が見えなくなったら蓋をします。

2本目以降

オスとメスの判別をします。まずオスはメスに比べて数倍大きくなるので、1本目で差が出ます。さらに正確に判別したい場合はお尻に黄色い卵巣が透けて見えるのがメスです。

2本目以降に使用する菌糸ビンのサイズはメスは800cc、オスは1200〜1500ccです。

菌糸ビン幼虫を入れて数日経つと写真のように食べた跡が見えるようになります。これが8割ほどになり白い部分が減ったら交換のタイミングです。先程目安は3ヶ月と書きましたが、エサの食べ具合で判断する方が正確です。

交換の際はスプーンで幼虫を掘り出し、1本目に入れたときと同様、古いエサを少し混ぜて新しい菌糸ビンに入れます。

5. 前蛹〜蛹

蛹になる前の幼虫は蛹になるための部屋(蛹室)を作ります。少し見づらいですが写真のように縁取られたような形状の横長の部屋が確認できれば蛹化まであと少しです。部屋を作り終えた幼虫は蛹室で体が伸びて動かなくなります。これを「前蛹」といい、やがて脱皮して蛹になります。前蛹になったらあまり触らないようにしましょう。

6. 羽化!

蛹になってから約1ヶ月後、体色が濃くなってきたらいよいよ羽化です。羽化自体は30分足らずで終わりますが、そこから羽を乾かし、色が濃くなるまでには数時間かかり、完全に黒くなるまでには1週間かかります。

羽化直前、骨格が透けて見える
背中が左右に割れ、羽化が始まる
蛹の皮を脱ぎ終えて羽を乾かす
数時間かけて色が茶色になっていく

羽化直後は体が柔らかくむやみに触ると傷つけてしまうことがあるので、最低でも1週間待ちましょう。成虫は湿ったマットと止まり木を入れたケースで飼育します。羽化後1ヶ月間はひっくり返っていることが多々ありますが、これはお腹を乾かすために自ら仰向けになっているので放っておいても大丈夫です。エサは2ヶ月後から食べるようになります。これを後食といいます。このあとはペアリングの項目で書いたように成熟を待ってから次の繁殖をさせることができます。

まとめ

いかがでしたか? オオクワガタが寿命が長くて繁殖が簡単、そして何よりもカッコイイ見た目の昆虫です。子供から大人まで飼育が楽しめ、完全変態についても学ぶことができます。特に蛹化、羽化のシーンはいつ見ても神秘的です。年々野外採集の難易度が上がっているオオクワガタですが、ブリード個体なら大量に出回っており、大きさや産地にこだわらなければ一昔前よりは安価に手に入れることができます。ぜひこの夏オオクワガタの飼育に挑戦して良い思い出を作ってください!